それにしても60年以上住んだ土地です。

50年以上前に一度建て替え、35年前にフルリフォームしていますが

古さは否めません。

東北大震災の時に地盤が傾いたのか、基礎が歪んだのは明らかでしたし

おまけに大雨が降るとすぐにハザードマップが真っ赤になる

危険区域内に建つ家でした。

近所も昔から住む人々は高齢で亡くなったり引っ越されたりで

新しい顔ぶれは付き合いも薄く、また、売らずにほっとかれ廃墟になってしまった空き家も

数軒ありました。

それでもまだ便利ならば何とか住めたと思います。

高齢になって足腰も衰え始め、近所にコンビニ一つない場所です。

ポストもない、スーパーも閉店、通う病院も徒歩で30分かかるような

それはそれは不便な土地に建っていました。

朝のゴミ捨てでさえ億劫になるほど、辺鄙な場所!と言ったらわかりやすいかもしれません。

でも、父の墓が近かったんです。

枯れた花のままにしないよう、こまめに通っていました。

管理の方がいつも感心して声をかけてくれるほど、常に花と線香が絶えない墓でした。

でも、どこかで重い腰をあげないとなりません。

父の3回忌が終わったら…と線引きし、

今年の6月に売却の契約。

11月末に母が引っ越してきました。

もちろん、不安はありました。

自分自身が住んだ思い出深い実家を売却するということに

随分と気持ちの上の葛藤もありました。

母にすれば、それ以上に要介護5になった父を一人で介護し、見送った家です。

私は介護保険の住宅改修という仕事を通して、多くのケアマネさんと話す機会があります。

その話の中で良く出てくるのが

「高齢になったら住む場所は変えない方が良い」でした。

環境が変わり、認知症が始まる・進む。

隣近所との付き合いやそれまでの友人関係が希薄になり話す機会が減ることが

認知症を助長するのだそうです。

やる気がなくなり、言葉数が減り、家から出ない、ふさぎ込むことが増えたら要注意。

少しの変化も見逃さないように、と教えられました。

今はまだ引っ越してきたばかりですが、慣れてくる今後は注意を怠らないよう気を付けないといけません。

③に続く